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水のコラム

広島市の水道は止まったことがない!残る不断水の記録【水道職人:公式】

2024年08月16日 その他


こんにちは、水道職人の矢野です。
 
広島県広島市の水道は、1度も断水したことがないということを、ご存じでしょうか?
 
広島市の水道は明治31年に創設され、それ以降1度も断水することがなく、広島市全域に水を届け続けているのです。
 
今回は、広島市の水道がなぜ1度も断水することがなく、水を広島市全域に送り続けることができているかについてお話します。
 

広島市水道の不断水の記録を繋いだ職員


昭和20年8月6日の原爆投下の中でも、広島市全域が断水を避けられた理由には、水道局の職員の一人である、堀野九郎氏の尽力があったからだと言えます。
 

8月6日の広島の気温

当時の広島市の最高気温は31.5℃、最低気温は23.4℃でとても暑い日でした。
 
現代を生きる私たちの感覚で見ると、31.5℃は涼しいと感じる温度ですが、昭和20年という時代では夏の日差しが厳しい日だったのです。
 
冷たい水は人々の喉を潤わせ、冷たい水で涼をとっている人もいらっしゃいました。
 
参考:NHK┃ひろしまWEB特集
 

堀野九郎氏とは?

堀野氏は、当時牛田浄水場内の公舎に住んでいた、水道局職員の一人です。
この日非番であった堀野氏は、疎開しているお子様に学用品を送ろうと出かけた帰りに、にぎつ神社の前で被爆しました。
 
この日は暑かったこともあり、広島市内の皆が水を望んでいることを知っていた堀野氏は、ご自身も被爆で火傷を負っていたにも関わらず、水が必要だという思いから、牛田浄水場へ急行したのです。
 

壊れた牛田浄水場

牛田浄水場は爆心地から離れていたため、火災の被害は免れていました。
しかし、建物の損壊が酷く、ポンプの電気関係は破損し、機械の間にはガラス片が食い込んでいたのです。
 
堀野氏は手作業で一つずつガラス片を取り除き、機械の運転ができる状態にしました。
その後ポンプの点検を行うと、内部には水がなく、迎え水をしなければならない状態だったのです。
 

一人での作業

迎え水のために、堀野氏はたくさんの弁を操作しました。
そしてディーゼルポンプのスイッチを入れたところ、ポンプの下に水が見え、その直後にポンプに水が上がってきて、1台のポンプが動き始めたのです。
 
堀野氏のこの行動により、1時間分の水が送水可能となりましたが、1時間後には水が止まってしまいます。
 
水量を増やすためには、起動用圧縮空気が必要だと、堀野氏は考えました。
 

若い職員たちの登場


堀野氏が一人で作業をしていると、若い職員たちが登場し、暫しの間、互いの無事と再会を喜び合います。
 
当時の牛田浄水場は3交代制で運営をしており、場内には2〜3人しかいなかったのです。
 

配水機には1mの水

浄水場の配水機の上にいた職員は、堀野氏たちに、水が1mしか残っていないことを伝えました。
1mの水では、ポンプが動くようになったとしても、広島市全域に配水することができません。
 
配水のためには取水が必要だと、堀野氏たちは修理を再開します。
 

ディーゼルポンプの2号と3号

取水のためには、自家用発電機を動かし、空気圧縮機で空気を圧縮して、ディーゼルポンプの2号と3号を動かす必要がありました。
 
そのために堀野氏たちは修理を続け、やがてディーゼルポンプの2号と3号が回り始めます。
 
ディーゼルポンプが回り始めると、発電機を点検し、異常がないことを確認しました。
 

時間との戦い

ろ過池の水が干上がる前に、取水する必要がありました。
既に1mしか水がない状態のため、取水は時間との戦いです。
 
外の鉄塔に登り、傷んだ碍子(がいし)を交換し、電気を送電できるようにしました。
これにより圧縮空気が作れるようになり、ディーゼルポンプの2号が動き始め、3号も続いて動き始めます。
 
ディーゼルポンプの2号と3号が動き始めたことにより、取水が可能になり、広島市全域に安定して配水を行うことができるようになったのです。
 

堀野氏の英断

堀野氏の初動のお陰で、被爆から約6時間後に予備の送水ポンプの運転が再開し、配水が途切れることなく続けられました。
 
堀野氏の英断により、広島市全域が断水するという事態を避けることができたのです。
 
広島市の水道設備が創設されて以来、不断水の記録を伝統として守り続けられていることも、堀野氏の尽力があったお陰です。
 
参考:広島市水道局┃広島市水道と原爆~不断水の記録~
参考:広島市水道局┃広報動画「命の水~ひろしま水道物語~」
 

まとめ

広島市の水道が不断水であることや、なぜ不断水の記録を残せているかについてをご存じない人もいらっしゃるのではないでしょうか。
水道は命の水と呼ばれ、我々人間だけではなく、動植物にもなくてはならないものです。
 
断水が起これば生活に大きな影響を与えます。
不断水であるということは、安定した生活を送るためにとても大事なことなのです。
 
ひろしま水道職人は、水道メンテナンスサービスを提供している企業として、広島市全域への給水が止まらぬように尽力された堀野氏のように、有事の際に皆様のご家庭の水まわり環境を整えられる企業でありたいと、褌を締めてかかります。

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